記事一覧

肌の表面からの水分補給には限界がある①

ここで、簡単に肌の構造についてお話をします。まず、肌の土台としては、表面に凹凸のついたスポンジを想像してください。寝具のマットレスも、平たいものよりも凹凸のついたものの方が、寝たときにクッションがいいですよね。肌におけるスポンジの部分もクッションの役割を果たし、凹凸があることで皮膚は弾力やハリを保つことができます。この肌の組織を専門用語では「真皮」といいます。このスポンジの上にハンカチをのせます。これは、専門用語では「表皮」といいます。正確には、基底層から有棘層といいますが、みなさんは「表皮」と覚えてください。

さらに上に薄いガーゼをのせます。これは専門用語では「角質層」といいます。このガーゼの部分は、ア力擦りなどでゴシゴシとこするとはがれ落ちます。生物学的にはガーゼの部分は生きた細胞ではなく、爪や髪の毛と同じ種類であり、古くなったガーゼは捨てられる運命にあるのです。さて、スポンジの上にハンカチ、その上にガーゼをのせた状態で上から化粧水をしみ込ませると、どうなると思いますか? 化粧水は、ガーゼからハンカチ、スポンジへと浸透していくはずです。ところが、実際の肌ではガーゼの部分にしかしみ込みません。なぜならば、ガーゼの部分と、ハンカチやスポンジを構成している部分では、細胞の種類が異なるからです。

ハンカチやスポンジは、生きている細胞組織の密集体なのですが、ガーゼは生命力を失った細胞(脱核細胞)の集まり。生きている細胞と死んでいる細胞ほどの違いがあるのです。ハンカチの部分では、毎日、新しい細胞が生み出されています。たとえば、ナイフで指を切ってしまった後に、時間の経過と共に傷口が塞がり、元のような肌の状態になります。傷跡ができるような肌の状態ではなく、傷口が完全に元に戻るような傷を考えてください。このとき、肌の細胞は、傷によって失われた組織を補うために、細胞分裂によって新たな細胞を生み出し、組織を元の状態に戻しているのです。細胞分裂があるからこそ、肌の組織も修復されて元通りになるのです。