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肌の表面からの水分補給には限界がある②

その一方で、分裂ができなくなる細胞もあります。分裂ができない細胞は、ハンカチにとっては意味のない細胞として扱われ、上のガーゼの部分に押し上げられます。下からどんどん分裂しなくなった細胞が送られ、ガーゼの部分はそれらの細胞が密集しています。そして、顔を洗ったときにアカとして体の外に捨てられる仕組みです。ハンカチの部分は、新たな細胞を生み出して活性化していますが、ガーゼの部分はアカとなる細胞の集合体ではがれ落ちるだけの運命にあります。このように、ハンカチとガーゼでは、細胞の構造が異なっているのです。では、化粧水をつけたときにはどうなっているかといえば、このアカとなる細胞の隙間には多少の水分が入っていきます。

しかし、その下の生きた細胞組織は、水分を跳ね返しているのです。ガーゼ部分には少々の水分を入れることは可能でも、ハンカチの部分の生きた細胞組織は、外部からの侵入をブロックしてしまう。いわば防御反応です。そのため、ガーゼに水をしみ込ますのは簡単でも、ハンカチにしみ込ませるのは難しい。ハンカチが水をはじくようにコーティングされていると考えてください。ガーゼ部分は、捨てられる運命にある細胞の集合体なのでコーティングが弱い。そのために水分が隙間に侵入できるのです。洗顔で力を入れて肌をこすると、ガーゼは所々が破れたような状態になります。

多くの方が「化粧水が肌にしみ込んでいる」と勘違いしやすいのは、破れたガーゼの部分に水分などが入り込むためです。それだけのことにすぎないのです。人間の細胞組織は実に巧妙にできています。アカとなる運命のガーゼの部分にもきちんと役割があります。ガーゼの部分は、ハンカチから送り込まれた分裂しなくなった細胞の集合体といいましたが、カメの甲羅のように密集して、細胞間には油分と水分をためて、外部から細菌などが侵入してくるのを防ぐ、重要な役割を果たしています。

その強度を増した状態が「爪」です。爪は皮膚の表面よりも硬くて頑丈ですが、肌の表面も、爪ほどではないにしろプロテクトするためにガーゼの部分があるのです。ガーゼは、ハンカチやスポンジを守るために必要不可欠なものです。しかし、こすってはがれ落ちるはど構造はもろい。その隙間に、化粧水などの成分が入り込みやすいのです。ただし、それらがハンカチやスポンジまで到達することはありえません。仮に到達したとしても、生きた細胞の栄養分になることは難しいのです。「化粧水がしみ込む」感覚は間違いとはいいません。しかし「肌の細胞に栄養を与えて細胞を活性化する」のとは、イコールにはならないことを、改めて申し上げたいと思います。

肌の表面からの水分補給には限界がある①

ここで、簡単に肌の構造についてお話をします。まず、肌の土台としては、表面に凹凸のついたスポンジを想像してください。寝具のマットレスも、平たいものよりも凹凸のついたものの方が、寝たときにクッションがいいですよね。肌におけるスポンジの部分もクッションの役割を果たし、凹凸があることで皮膚は弾力やハリを保つことができます。この肌の組織を専門用語では「真皮」といいます。このスポンジの上にハンカチをのせます。これは、専門用語では「表皮」といいます。正確には、基底層から有棘層といいますが、みなさんは「表皮」と覚えてください。

さらに上に薄いガーゼをのせます。これは専門用語では「角質層」といいます。このガーゼの部分は、ア力擦りなどでゴシゴシとこするとはがれ落ちます。生物学的にはガーゼの部分は生きた細胞ではなく、爪や髪の毛と同じ種類であり、古くなったガーゼは捨てられる運命にあるのです。さて、スポンジの上にハンカチ、その上にガーゼをのせた状態で上から化粧水をしみ込ませると、どうなると思いますか? 化粧水は、ガーゼからハンカチ、スポンジへと浸透していくはずです。ところが、実際の肌ではガーゼの部分にしかしみ込みません。なぜならば、ガーゼの部分と、ハンカチやスポンジを構成している部分では、細胞の種類が異なるからです。

ハンカチやスポンジは、生きている細胞組織の密集体なのですが、ガーゼは生命力を失った細胞(脱核細胞)の集まり。生きている細胞と死んでいる細胞ほどの違いがあるのです。ハンカチの部分では、毎日、新しい細胞が生み出されています。たとえば、ナイフで指を切ってしまった後に、時間の経過と共に傷口が塞がり、元のような肌の状態になります。傷跡ができるような肌の状態ではなく、傷口が完全に元に戻るような傷を考えてください。このとき、肌の細胞は、傷によって失われた組織を補うために、細胞分裂によって新たな細胞を生み出し、組織を元の状態に戻しているのです。細胞分裂があるからこそ、肌の組織も修復されて元通りになるのです。

顔面マッサージ器はNG! やさしく手で行おう②

肌の細胞にとっては、顔面マッサージの器具の刺激はストレスになります。器具は人間の身体にとって異物です。肌が敏感な人は、時計やアクセサリーを身につけるだけで皮膚が炎症を起こします。特に顔は皮膚が薄いので、真皮にある免疫機能が反応しやすくなっているため、肌が敏感ではない人でも時として炎症が起こる可能性があるのです。強くこすれば肌の表面は破壊され、バリア機能も失われて、感染などによる炎症も起こしやすくなります。器具の刺激と、破壊された肌の炎症のダブルダメージを受けやすくなるため、気をつけていただきたいと思います。

衣類などの化学繊維でも肌は炎症を起こすことがあります。一般的によく知られているのは、入浴のときに使うナイロンタオルによる皮膚障害です。ゴシゴシとナイロンタオルでこすると、肌の表面の古い角質層がアカとなって落ちるだけでなく、新しい角質層の細胞も被壊されやすい。しかし、痛みやかゆみが伴わなければ、ゴシゴシと洗うことに気持ちよさを感じてそのまま続けているでしょう。肌の組織が破壌されているにも関わらずこすり続けていると、肌の奥の細胞にまで悪影響を及ぼし、その結果として、組織がダメージを受けて色素沈着を引き起こしやすくなります。

鎖骨やろっ骨などの骨の付近の皮膚が黒ずんで変色するのですが、それを「摩擦黒皮炎」というのです。この症状が表れたら、ナイロンタオルの使用は止めることがなによりです。肌に刺激を与えないことが肝心です。顔のマッサージでも、器具を使うことで機械的な刺激は避けられません。小顔の実現やシワ&たるみの改善のために、一生懸命取り組んで逆にシミだらけになってしまう。そんな危険をはらんでいるのです。顔のマッサージは器具を使わずに、やさしく手で行う方が無難といえます。指先や手のひらでそっといたわってあげてください。

顔面マッサージ器はNG! やさしく手で行おう①

肌というのは、とってもデリケートな器官です。ご自身の左腕を右手の手のひらでピシャリと力強く叩けば、赤くなるはずです。また、「ちょっとかゆい」と思って、指先でポリポリと肌をかくと赤くなります。それほどデリケートな肌に対して、ゴシゴシと洗顔するだけでなく、その後に「顔面マッサージをしています!」という女性の話を聞いて驚いてしまいました。確かに、シワやたるみは、顔面のマッサージをしているうちに改善していきます。仕組みは簡単。肌の細胞の位置がズレるからにほかなりません。眉間のシワを考えてみてください。若くしても眉間のシワが残っている人がいます。

職場や家庭でイライラして眉間にシワを寄せ続けていると、怒りが静まって普通の顔に戻ったときにも、シワだけは戻らないようなことが起こるのです。肌というのは、ゴムのように多少ののび縮みができるため、顔の筋肉に合わせて表情を作ることができるのですが、加齢に伴い弾力やハリが失われてくるとのび縮みが難しくなってきます。眉間にシワを寄せて凹むと、肌ののびる力も弱くなるために溝ができやすくなるのです。毎日、眉間にシワを寄せていれば、その状態は長く続くために、元の状態に戻らなくなります。中高年になって笑いシワができるのも、目尻の肌が元に戻りにくくなっているからといえるのです。

そんなシワは、早期の段階であれば、細胞の位置をずらし、肌が元に戻るように引っ張ってあげることを何日も続けていれば、自然に改善します。怒っても、笑っても、シワはのばしてあげればいいのです。そこで注目されているのが顔面マッサージです。シワやたるみを取るだけでなく、顔も小さくしてくれるために大人気。ただし、注意していただきたいのは、顔面をマッサージするときに器具を用いると、肌の細胞が機械的な刺激にさらされ続けてしまうということです。

洗顔は洗顔料を泡立てて3回~5回洗い流すだけ③

水と油の仲介役である「界面活性剤」には、肌のバリア機能を破壊する力を秘めていることを専門家の誰もが知っています。もちろん、クレンジング剤や洗顔料を作っている企業の方々もご存じのはずです。汗でも落ちないお化粧を洗顔ですんなり落としたいけれども、そのために肌のバリア機能は破壊される。それを改善するために、クレンジング剤や洗顔料にあえて油分を加えている製品もあります。仲介役が奪った肌の油を補う、あるいは、肌から油が奪われないようにしようとしているのです。でも、仲介役の働きを止めることはできません。成分として仲介役がたくさん入っていればいるほど、肌へのダメージを防ぎようはないのです。

そこで、肌を守るために、洗顔料をどう選ぶかが問題になります。私は、みなさんに、なるべく仲介役の成分が少ないクレンジング剤や洗顔料を進んでいただきたいと以っています。ただし、一般的に商品には、「界面活性剤入り」などと明確な記載はなく、成分名だけ表示されているため、使用されているみなさんが気付かないことも多いのです。「加水分解コラーゲン」などと書かれていると、まるで美容の成分のようで、買われるみなさんが界面活性剤と気づかなくても無理はありません。それに、成分のひとつひとつを吟味していたら疲れてしまいます。そこで、選ぶポイントとしては、クレンジング剤は界面活性剤の含有量が比較的少ないクリームタイプやミルクタイプ、洗顔料は石けんタイプがおススメです。

オイルタイプのクレンジング剤にはたくさんの界面活性剤が含まれているので気をつけてください。もっとも理想的なのは、洗顔料を泡立ててお顔につけて、3回~5回程度、洗い流すだけでお化粧を落とすこと。ゴシゴシこすって落とすのではなく、泡立てた洗顔料を使って肌をやさしくなでて、サッと水で洗ってお化粧を完全に落とす。1分~2分もあれば十分です。これを実現するには、この洗顔方法で簡単に落ちる程度のお化粧を心掛けることも大切です。つまり、薄化粧です。「使い勝手がいい」=「肌にいい」ではありません。むしろ使いやすい、使い心地がよいものは、そう思わせるために成分が操作されていることもある。このことを忘れないでください。